パッシブハウス研修

二日間に渡ってのパッシブハウス研修in札幌でした。


今回は、建材メーカーさんからのお誘いで参加させて頂いた研修で、当初私が想像していた以上に、勉強になった二日間でした。
初日にお邪魔した北広島市の今川建築設計管理事務所さん。
自宅兼仕事場を昨年にパッシブハウス仕様で建築されており、Q値0.47W/m2K・壁熱還流率:0.083(465mm断熱)・天井熱還流率:0.073(536mm断熱)・サッシ熱還流率:0.7と仕様はマッシブ!
今川さんが設計したパッシブハウスの内容を詳しく説明いただきました。
今川さん本当にありがとうございました。


玄関ドアは木製玄関ドアがなんと2枚。


今回のポイントは、熱交換換気システムと連動した冷暖房システム。
熱交換した吸気側の空気を1KWのエアコンで冷暖房して、各居室に送り込むという合理的で安価な仕組み。
お邪魔した時の室温は21℃。9人でお邪魔したため2時間程度で室温は25℃まで上がり、暖房エアコンはストップ!


二日目は、手稲区の工学博士サデギアン・モハマッド・タギさん通称タギさん宅へお邪魔させていただきました。
この住宅は、34年前に建築された旧荒谷邸のパッシブハウス。
34年前に現在のパッシブデザインのほとんどが凝縮されていることに驚きながら、当時の豊なアイデアやデザインにすこぶる関心させられたのと同時に、私たちの力不足を改めて認識させられた住宅でした。


外装は、当時のまま。地元のとど松材を使用。やはり木の外装は良いです。
南面は大開口が連続する、すっきりとしたデザインがすばらしい。
サッシの上には夏対応の庇が付き、当時でも夏冬対応の断熱住宅がデザインされている。
屋根の中に埋まっているように見えるサッシは2Fロフトの夏型開口サッシ。


こちらも34年前に作成された木製トリプルLOW-E硝子サッシ。


2Fのリビング。
この建物の最大の魅力は、ブロック造で建てられた巨大な熱容量。
この熱容量がもたらすのは、冬場の暖かさを持続させる効果もあるが、夏の夜間の涼しさを持ち越し、涼しい環境を作る事です。



2Fのロフト。
夏開放窓。


和風住宅でいう、縁側的な部分。
洗濯物干場や空間を分けるために必要な場所です。最近の住宅ではいつからなくなってしまったのだろう。


このブログでは書ききれないほど、アイデアにとんだ高性能なパッシブデザインハウス。
この二日間を通して感じたことは、30年以上前に実現していたパッシブデザインが、今になり広まりをみせてきているが、こうした断熱住宅や断熱性の向上は、エネルギー消費量を減らすことが最大の目的のようにいわれ、Q値争い行われ、今後は高効率設備機器に頼った設備過多な住宅が広まりを見せる傾向にある。
LCCM住宅など設備に頼った住宅は誰のための住宅なんだろう?
熱損失を減らすことだけが目的ではなく、建物の断熱性能をできるだけ高めることは手段であり、その上にパッシブデザインを行わなければならない。